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もうすぐ夏休み。

みんなはどこに遊びに行く?

楽し気に笑う友人たち。

けれど、金本はどこか浮かない顔をしていた。

心配した清岳と金本はすれ違う。

些細なことで喧嘩になってしまい、その後金本は"友達の家にいる"

というメッセージを残してどこかへときえてしまう――

ストーリー

​【ep.01】

友達って、なんだろう。

本当の家族のカタチって――なんだろう。

『友達と一日中遊んだ』
『この間も家族が旅行に連れて行ってくれた』
…どれも自分の知らない世界。

 

楽しげに笑うみんなの顔を見ていると、怒りや嫉妬、

劣等感が湧いてくる。
俺には持っていないものを

”当たり前のように″持っているみんなが、

どうしようもなく憎かった。
そして、そんな醜い感情を持っている自分が

なにより大嫌いだった。

 

家中に響く親同士の怒鳴り声、クラスメイトの

幸せそうな笑い声、誰かの嘲笑うかのような不快な声、

どこからともなく付き纏う視線。

 

逃げたい。

もういっそこの世から消えてしまいたい。

でもきっと絶対に逃げられはしない。

この冷え切った家庭からも、

自分の犯した罪からも、“あいつ”からも。

 

感情全てに仮面を被せるように、

今日も俺は“ごく普通の高校生“を楽しそうに演じた。
 

​【ep.02】

俺の家族は6人家族。
 

元気で家族思いの優しい父に

口うるさいけど優しい母さん。
俺より4つ年の離れた姉に、

物静かで賢い妹とおバカで活発な妹。
 

時には喧嘩をしたり騒がしい毎日だけど、

学校での生活やこのありふれた家庭環境

俺はとても満足していた。

 

――いつからだろう。

心の片隅にあいつへの淡い想いが芽生えていたのは。
笑った時の顔が愛らしくて、
そして

時より見せる憂い気な横顔にいつも目が離せなくて。
 

あいつのそばに居るだけで胸が高鳴るのを自覚したとき、ようやくこれがだと気づいた。

 

あいつに触れたい。
互いの想いが通じ合えたなら。

俺が恋人としてあいつのそばにいてあげられたら。

でもあいつは、周りの人間は俺の本心を知った時、

どんな思いを抱くのだろうか。
ありもしない不安や恐怖が頭の中を過っては、

あいつに伸ばす手を止める。

今まで築き上げてきた友情を壊したくない。
 

俺は秘めた想いを胸の内にしまい込むと、

いつものように"友達"としてあいつに笑いかけた。


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